出会うべくして出会ったのだろう。
そう、月は思う。

光があって、影があるように。
光無くして、影が無いように。

きっと自分達は対なのだろう。

どこか似ていて確実に違う、そんな存在。

「どうかしましたか?」

穏やかに聞かれ、なんでもないと月は首を振る。
穏やかな日々。
光と影が寄り添いあう。
それは心地のいい、けれど刹那の夢事だ。

光と影、常にともにはありえない。
共存など出来ないほどに、それらは違いすぎる。

だから今のこの安寧はいつか終わるのだと、月は知っていて。
Lもきっと知っている。
それが刹那を直一層儚くしている。

光は輝きを強くし。
影は黒さを深くする。

強すぎる光は影を消し。
強すぎる影は光を飲む。

だから、いつか自分達のバランスは崩れるのだと、月は思う。

キラはLを狙い続け、より一層強くなり消そうとするし、Lはキラを捕える為に強さを切望し飲もうとする。

キラとLは相容れない。
光と影の運命のように。

光が影を消そうとするように。
影が光を飲もうとするように。

Lとキラは戦い続ける。
消しあおうとする。

それはもう、必然なのかもしれない。

けれど。

(せめて、もう少しでいい)

この安寧が続けばいい、と月は祈らずにいられなかった。
少しでも長く、長くと祈るのだ。

たとえ滅ぼしあう為に出会った自分達であっても。
少しくらい祈る事は許されるだろうから。