どれだけ肌を重ねば、気持ちは伝わるのだろう。
どれだけ体を繋げれば、溶け合えるのだろう。

Lの楔に貫かれたまま、ぼんやりと僕はそんな事を考えた。

重ねるだけで思いが伝われば、どんなに楽だろう。
自分がこれほどLを愛しているのだと。

体を繋げて、いっそこのまま一つになってしまいたい。
そうすればもう、彼を殺さずにすむ。
そうして二人で一つとなり、片時も離れる事無く・・・・・・。

「ッあ、やめ・・・・・Lッ」

そんな事を思っている僕を、Lが激しく突く。
まるで責めるように。

僕の弱い場所を既に知り尽くした彼は、その場所ばかりを狙う。
その度に僕は激しい快感に襲われ、体を震わす。

願う事さえ、許してくれないかのように。

快感の中、ふとそんな事を思い至り、僕は泣きたくなる。

あぁ、きっと。

思いは伝わらない。

Lにとってこれは戦略なのだ。
キラたる僕を懐柔する為の。
自白を促す為、かもしれない。

一つにはなれない。

それを願うのは僕だけだから。
彼は僕にキラを望むのだから。
そして自分はLで有り続けようとするのだから。

「アッ・・・な・・・ぇルッ」
「竜崎です」

強くLがその場所を突く。
非難するように彼の名を呼ぶと、Lが冷たく訂正する。
まるで、名前を呼ぶことさえ許さないと言うように。

そこで僕は気付いてしまう。

僕は彼の名前さえ知らない。
もともと、名を呼ぶことなんて出来ない。

その上、偽りの名さえ呼ぶことを許されないのだ。

「私とのセックスは不満ですか?」

一瞬啼きそうになった僕に、ふと、Lがそんな事を尋ねてくる。
その黒い双眸からはなんの情報も読み取れない。

「な・・・ァ・・・ッんで・・・?」
「ずっと、苦しそうな顔をしてます」

どんな顔をしていたのだろうと、僕は疑問に思う。
Lの声はらしくもなく不安を帯びていて。
僕はそれをすぐに解きたくて、首を横に振る。

不満なんてあるはずがない。

たとえ思いは通じなくても。
一つになれなくても。

この時間だけはLが僕のものになるのだから。

快感の中、必死に首を振った僕にLは優しくキスをくれた。