瞳を輝かせたLに、もっと喜ぶ顔が見たいと月は思う。

「少しはやる気出たか?」

月の問いに頷かず、けれど否定もせず。
答えのないLに、それでも月は答えを見出した。

Lは子供のように今、瞳を輝かせている。

そして、その先にはキラが居る。

(竜崎を喜ばせるのはキラだけ)

キラを捕まえることこそが、きっとLたる彼の今の最高の願い。
だから、その微かな痕跡にさえこんなに目を輝かす。
歓喜する。

(それでも、少し複雑だな)

歓喜するLを見るのは、嬉しい。
まるで自分事のようにさえ感じられる。
けれど少し、ほんの少し寂しく思う自分を月は自覚する。
そして、自分の存在ではLの喜びを生み出せないことを悲しく思う。

(何を考えているんだ)

あの輝く瞳が見られるだけでいいと、そう決めたのは自分だ。
決してこの感情は告げず、ただ、Lの幸せのため、自分は努力しようと。

そう、月はこの感情に気付いた時に決めた。

決して叶わないだろうとわかっているから。
せめてその傍で彼を幸せにしたい。
そのために自分が出来ることなら何でもしようと。

(そう、だから僕は)

キラを捕まえる。

月はそう決意を新たにする。
誰でもないLがその瞬間には微笑んでくれることを夢見て。