自分達がとてもよく似ているのだと気付いたのは、ふとした瞬間だった。

ノートを手に切れ端でも人が殺せるのかと問うた彼。
自分と同じ目線で物事を見、考える彼に月は少し切なくなった。

どうして、こんな形で出会ってしまったのだろうと思わずにはいられない。

(たぶん、やっと出会えた存在)

ずっと月は探していた。
自分と同じ場所で同じように物を身、考える存在を。
そう、真実に気付いたのはいつだっただろう。
それはもう思い出せないほど昔に思えたし、昨日のように近くも思えた。
ただ、それが何時だったか月には断言出来ない。

(あぁ、もしかしたら)

自分は優しい人を守ると言うのを建前に、ただ、人を殺し、彼を探そうとしていたのかもしれないとさえ月は思う。

人を減らし、会う確率を高める為に殺人を犯していたのかもと。

(狂人)

月はそんな自分をそう胸中で冷静に評する。
自分は狂っているのかもしれない。
そう思いながらLを見る。

(それでも会いたかった)

Lを見て、考える。

もしも、ずっと昔から傍に彼が居たなら。
月はデスノートを使わなかったかもしれない。
二人で優しい世界を作ろうともっと平和にその道を探したかもしれない。

そしてキラは生まれず、世界はゆっくりとそれでも優しく変わったかもしれない。

(可能性、なんてものに意味は無いけど)

そんな夢を一瞬見て、月は哂う。

もしも、だったらなんて何の意味があると言うのだろう?
過去は変えられない。
月はキラで竜崎はLだ。
どれだけもしもだったらを繰り返しても、二人の立場は変わらない。

彼らは敵なのだ。

(どう足掻いても変えられない)

月はもうすぐLを殺すだろう。
Lを生かしておけはしない。
きっとLがキラで月がLの立場ならば、月はLを許しはしないだろうから。
どこまでも追って、邪魔をするだろうから。

(だから、せめて)

彼を自分の手で殺そうと月は決意を新たにする。
いつまでもその存在が鮮やかに自分の中、罰として遺るように。
月はLを殺すのだ。